料理で旅する南イタリアヘルシー紀行マテーラ

 

  ■南イタリア料理 

1.マグナ・グラエキアカプリ

美と健康の楽園、南イタリア。そこには神より授けられた
肥沃な大地と、降り注ぐ太陽、それから生命の宝庫、
海があります。

古代、この地にワインの作り方や、オリーブなどを持ち
こんだギリシャの人々は、憧れと羨望を込めて「マグナ
グラエキア(大きなギリシャ)」と呼んでいました。彼らに
とって、何を植えてもよく育ち、海産物も豊富に獲れる
その土地が、まさに楽園に見えたのです。

 

 

 


家庭の食事風景2.イタリア料理なんて料理は、存在しない

イタリア料理はときに、高カロリーで、毎日の食事としては
不健康であると思われることがあります。たしかにバターを
たっぷりと使った、濃厚な高脂肪の料理がないわけでは
ありません。しかしそれには、文化的な背景も考慮される
べきで、北イタリアの寒い内陸部では、厳しい冬を越す為に
高カロリーな食事が求められますが、もとより自然に恵まれ、
神の恩恵を受けてきた南イタリアでは、素材そのものが美味
しく、そこに足すものなど必要としなかったのです。

「イタリア料理なんて料理は存在しない」とはよく言われ
ますが、北海道と沖縄がそうであるように、風土も、文化も、
人も、料理も、その在り様はさまざまであることを、食文化を担う私たちは、もっとお伝えする必要があると思いました。     

 

3.南イタリア料理はダイエットや生活習慣病予防に効果的!レストランの食事風景

意外と知られていない、南イタリア料理。実はダイエットにも
非常に効果的で、糖尿病や動脈硬化など、さまざまな生活
習慣病を予防してくれる健康料理が数多くあるのです。
それは日常食として根付いた、食べる人の身体とこころの
状態を思いやった料理ですから、まさに、愛のたまもの。

健康に良いのには愛だけではなくもちろん、理由があります。
まず、バターなどのコレステロールを増やす食品(飽和脂肪
酸を多く含むもの)をほとんど使わないこと。それから必要
以上に濃い味付けをしない。海にも大地にも太陽にも恵まれて
いるため、野菜も魚も肉も、各素材の風味がしっかりしている
ので、補う必要がないのです。

そして、日常的に食す素材が、栄養学的にとても優れていて、その調理法がとても理にかなっている、というのも大きな要因。
その素材こそが、イタリア料理の顔ともいえる、オリーブオイルとトマト、そしてスパゲッティなのです。

 

オリーブオイル4.世界でいちばん母乳に近い食品、オリーブオイル

オリーブオイルは果実100%の唯一のオイル。他の油に比べると、オレイン酸が豊富で、このオレイン酸というのが、血中コレステロールの悪玉を低下させ、善玉を低下させません。サラダ油に含まれるリノール酸は、その逆の働きをします。さらに、酸化
されにくい性質を持っているので、動脈硬化の予防に非常に
効果的なのです。

また、ワインなどアルコール類を飲む前に舐めれば、胃の中に油脂を張り、悪酔いを防ぎますし、焼きものをする場合には、
魚でも海老でも野菜でも、表面にオリーブオイルを塗ると、
食材の旨みを閉じ込めるだけでなく、栄養分の流出を防ぐ
こともできます。その成分の構成は、もっとも母乳に近いと言われるオリーブオイル。おいしく、健康的な食生活を築く上でも、
南イタリア料理には欠かせません。

 

5.トマトのない人生をどうやって楽しもうって言うんだ? トマト

太陽の光をいっぱいに浴びた、トマト。トマトが赤くあると医者は
青くなる、なんて言われますが、リコピンと呼ばれる成分は、
高血圧予防やダイエット効果が期待でき、また、最近では抗がん
作用もあることもわかってきました。

その歴史は16世紀、コロンブスが新大陸を発見し、ナポリに
たどり着いた時から、始まります。最初は観賞用だったそう
ですが、度重なる品種改良で、それはそれは苦労して食用に
育てたといいます。

時には、「悪魔の実」と怖がられたともいうトマト。しかし今や、
イタリア人はトマトソースで和えたスパゲッティを食べながら、
冗談でこんなことを言うそうです。

「トマトのない人生をどうやって楽しもうって言うんだ?」

 

                                6.なぜ、オペラ歌手は舞台の前にスパゲッティを食べるのか?

サッカー選手スパゲッティは、硬質小麦であるデュラムセモリナ粉と水を
まぜて、乾燥させたものであり、もとは保存食として製造され
ました。12世紀頃のことです。添加物や保存料も一切、必要と
しない自然食品でありながら、保存性にもすぐれているのが、
このスパゲッティでした。 その原料は硬質小麦であるため、
ご飯やパンに比べても、消化までに時間がかかります。

ということは、(1)ぶどう糖になるまで時間がかかる→(2)ぶどう糖がゆっくり吸収される→(3)血糖値の上昇がゆるやかになる→(4)エネルギーを長時間持続して供給できる。だから実は、すごく腹もちが良いのです。

持久力を要求されるサッカー選手や、トライアスロンの選手の
食事は、もっぱらスパゲッティだそうです。栄養学的にも、試合前に糖質をしっかり摂り、瞬発力と持久力を高めるには、スパゲッティを主食にする方が良いとのこと。 オペラ歌手も同じような理由で、舞台前にはスパゲッティをかならず食べるそうです。

 

7.アル・デンテであることの意味、糖尿病も肥満も予防する美味しさの秘訣

パスタ(アル・デンテ)スパゲッティは先にも述べたように、血糖値の上昇がゆるやかですから、(1)インスリンを過剰に分泌刺激しない→(2)インスリンというのは血液中のぶどう糖を細胞内に取り込み、その利用を高め、体内での脂肪の合成も同時に高めるから→(3)結果、太りません。 この(4)インスリンを過剰に分泌しないというのが他の炭水化物食品に比べ秀逸で、インスリンの分泌が低ければ太らないかというとそうではなく、ぶどう糖が利用されにくくなるので、逆に糖尿病になる可能性が高くなってしまいます。

ところが、乾燥パスタは過剰に分泌しないだけで、まさにその中間をいく適度な分泌量なので、いまや4人に1人と言われる糖尿病を予防してくれるのです。 ただし、以上の効果を存分に発揮するには絶対に外せないセオリーがひとつ。 「アル・デンテ」に茹でること。これが鉄則です。 なぜなら、スパゲッティをゆで過ぎてしまうと、余計な油まで吸いこんでしまい、なおかつ、よく噛まずに飲み込めてしまうのです。硬質小麦とはいえ、そこまで軟化してしまえば、逆効果。日本でのイタリア料理に対する半健康的なイメージがあるとすれば、このゆで過ぎたパスタは一役かっているかもしれません。

「アル・デンテ」に茹でたスパゲッティはよく噛んで食べますから、顎も鍛えられ、過食も防ぎます。そして何より、小麦の素朴で
雄大な大地の味が、口中に広がって、より味わい深くなるのです。

 

シチリアのマンマの知恵から生まれた、カタクチイワシのオーブン焼き8.魚を健康的に美味しく食す、究極の調理法!
  南イタリアのマンマの知恵

魚の脂には、EPA(エイコサペタエン酸)という坑動脈硬化作用や抗血栓作用のある物質や、記憶力のよくなるDHA(ドコサヘキサエン酸)が含まれています。中でも豊富なのがイワシをはじめとする、サバやサンマなど背の青い魚。

日本の家庭でよく食されるのは、塩焼きでしょうか。実はそれでは脂が落ちてしまって、健康に有効な成分はほとんど摂取できません。まして皮目にできた黒い焦げは、胃がんの原因にも
なってしまいます。

これらを効率よく、そして美味しく食すためには、(1)加熱がほどよく素材をいじめないこと、(2)脂を落とさずに焦げを抑えて調理すること、この2点が重要になってきます。南イタリアの家庭では、オリーブオイルをかけてパン粉で包み、オーブンでローストするのが一般的。オリーブオイルは熱による変質を防ぎ、パン粉は脂の流出を止めますので、栄養学的側面からも理想的な調理法なのです。

 

9.良いワインは良い血を作る、その驚きの薬効

パスタ(アル・デンテ)もうひとつ、南イタリアにおいて日常生活には欠かせないものがあります。それは、ワイン。イタリアには病院にも、刑務所にも、大学の食堂にも、あるそうです。 特に赤ワインにはポリフェノールが多量に含まれており、それは抗酸化作用に優れ、なおかつ程良いアルコール分が、ほかのどの飲食料よりもその栄養分を摂取しやすくしています。古くから薬効のある飲料として、古代では医者が処方していましたし、最近では、ボケ防止や花粉症にも良いとの報告がある程。

もちろん、飲みすぎは体に負担をかけますが、栄養学的にも
毎日の食事にワインを適量たしなむことは、健康維持のために非常に有効であるそうです。 また、ワインと料理の相性は、そこに根付いた文化と、土地柄と、脈々と受け継がれた人々の叡智とを共にしたとき、おそろしく説得力を持って、表現されるものです。そもそもワインは、メソポタミアに生まれ、ギリシャを経て、イタリアに伝わりました。その後、ローマ帝国の拡大と
ともにヨーロッパ中にひろがるのですが、南イタリアはその出発点でもあります。その歴史的なワインと料理の歩みを、私たちのテーブルに再現することは、新たな発見と喜びを、私たちに与えてくれるでしょう。イタリアにはこんな諺があります。

・・・良いワインは良い血を作る。高級なワインである必要はありません。楽しく飲むワインは良いワインといってよいのです。